今、みなさんのいる場所の空気はどのくらい綺麗ですか?
世界人口の99%が汚染された空気を吸っていると言われていることを知っていますか?その中でも特に、低・中所得国では670万人が大気汚染による病気で命を落としています。
空気が汚染されている原因となっているのが農業、運輸、工業、家庭などの人間の活動により発生する温室効果ガスです。ごみもその原因のひとつです。大気汚染により私たち人間の健康と自然は多大な影響を受けています。
もし今、私たちが行動を起こさなければ、未来世代は澄み切った青空を見ることができないかもしれません。そうならないためにも、人々の意識を高め、より取組みを進めていくため、国連は「青空のためのきれいな空気の国際デー」を作りました。9月7日のこの日を前に、UNEP国際環境技術センターの本多俊一氏に大気汚染とごみについてお話を伺いました。
ごみ問題は具体的にどのように空気の汚染につながっているのでしょうか。
本多俊一(本多):実は、世界のごみの約50%は適切に管理されておらず、自然に捨てられたり、野焼きなどにより処分されています。このような方法でごみが処理されると、有害物質が大気中に排出されてしまいます。これは私たちの健康と環境の両方に大きな影響を与えるだけではなく、呼吸困難を引き起こしたり、疾患を持っている人の健康状態を悪化させてしまう可能があります。だからこそ私たちは、ごみのリサイクルやコンポスト、安全な処理など、ごみを正しい方法で管理する必要があります。こうした行動が空気をきれいに保ち、私たちと地球の両方を守るのです。
このような問題に対するUNEPの取組みを教えてください。
本多:UNEPは美しい青空を守る警備隊のような存在です。私たちはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの政府と協力し、ごみにより空気が汚れてしまわないように活動しています。各国の政府がより環境にやさしい廃棄物の管理方法を導入できるように支援を行い、野焼きや自然への不法投棄など、大気を汚染する可能性のある場所にごみが行き着いてしまうのを防いでいます。さらに、現地で活動する自治体や団体に対する技術支援により、綺麗な街づくりとごみが資源として循環される仕組みづくりに取組んでいます。また、これらの取組は、ごみ分野で働く人々の労働環境の改善にもつながっています。
ごみ分野で働く非正規労働者は、どのような大気汚染の影響を受けているのでしょうか。
本多:ごみ分野で働く非正規労働者には子どもも含まれており、安全でない環境でごみの収集、分別、処分をするために雇われることがあります。適切な防護服がなかったり、仕事環境の危険性について知らされていないこともあります。ごみの取扱い方によっては、有害な化学物質が空気中や水中に排出され、このような環境で働く労働者や地域社会が危険にさらされています。
UNEPによる現地でのごみ管理に対する支援は、彼らの労働環境の改善にもつながっています。より安全で環境に配慮した方法で廃棄物を管理することで、現場で働く人々の健康だけでなく、その家族や地域社会にとっての、より安全で安心な環境づくりにもなっています。つまり、UNEPの取組は私たちの青い空を守るだけでなく、私たちの環境を清潔に保つために懸命に働く人々の生活も向上させているのです。
個人や、企業、政府などはそれぞれどのようにこの問題に取組むことができるか教えてください。
本多: 先ほどお伝えしたように、世界のごみの半分近くが、リサイクルされずに、ごみ捨て場や自然環境に不法投棄され問題となっています。その結果、有害物質が大気中に排出され、私たちの健康にも地球にも悪影響を及ぼしているのです。もちろん、私たち個人ができることはあります。それは可能な限りリサイクルをすることです。ごみは正しく分別し、決してポイ捨てしない。小さな行動が空気をきれいに保つ大きな違いになります。
個人だけでなく、企業や政府も積極的に行動することで大きな変化を与えます。企業は商品の包装を減らし、生産過程で出るごみを減らした製品を作ることができます。また、消費者がリサイクルをしやすいデザインに商品を設計したり、ごみ管理の方法を改善するための規制を支援することもできます。
政府も重要な役割を果たします。不法投棄や野焼きを防ぐための厳しい規制を設けることができます。より良いごみ処理の方法に投資することで、大気汚染を防ぐことにつながります。
つまり、あなたが個人であれ、企業であれ、政府の一員であれ、空気を新鮮に保ち、私たちの世界を美しく保つためには、小さな一歩の積み重ねが重要なのです。
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