23 Jun 2020 Story Chemicals & waste

UNEPと日本政府によるプラスチック汚染と紛争後の復興への共同の取り組み

国連環境計画(UNEP)と日本政府は2020525日、アジア全域におけるプラスチック汚染への取り組みと、イラクや南スーダンでの紛争後の環境復興を支援するための新たな協力活動を発表しました。日本政府はUNEPが主導する以下の4つのプロジェクトに対して、およそ690万米ドルを拠出しました。

 

(1)アジア・太平洋地域におけるプラスチックごみ流出防止対策支援(62,700万円)

アジアの主要河川の一部でプラスチック汚染の原因を究明し、プラスチック汚染を減らすための地域のパートナーシップの確立を支援する海洋プラスチックごみ対策促進プロジェクト(CounterMEASURE project)の第2段階として行われるものです。

1年間にわたるプロジェクトの第1段階では、メコン川とガンジス川沿いのプラスチック汚染の発生源を追跡するために新しい技術と方法論が適用され、汚染源における防止策を各国政府に提案することが可能となりました。

プロジェクトの第2段階では、第1段階の活動をさらに発展させ、メコン諸国とインドでの政策と行動の変化を促進し、スリランカなどの他の地域にも技術を導入する予定です。加えて、プラスチック汚染が野生生物、特に渡り鳥の種に与える影響についても調査する見通しです。

Counter MEASURE プロジェクトについてビデオで学ぼう!

 

(2)アジア地域における環境上適正なプラスチック廃棄物管理・処理技術支援事業(約1億円)

この資金パッケージの下での第2のプロジェクトは、アジア全域でのプラスチック廃棄物の環境上適正な管理と処理方法に関する研究の支援です。本プロジェクトはUNEP国際環境技術センター(IETC)によって主導され、環境に配慮したプラスチック廃棄物の健全な管理に関するデジタルプラットフォームの展開を検討しています。

デジタルプラットフォームを通じて、特にプラスチック廃棄物を中心とした廃棄物に関する複雑で多様な情報を、最新のIT(情報技術)とAI(人工知能)を活用して一括して可視化することを目指しています。

 

上記のプロジェクト(1)及び(2)は、2019年に大阪で開催されたG20サミットで発表された、海洋プラスチックごみによる追加汚染を2050年までにゼロにすることを目的とした「大阪ブルーオーシャンビジョン」の実現に向けて途上国を支援する、日本の「MARINEイニシアティブ」を強化することを目的としています。

 

(3)イラクにおける瓦礫再利用を通じた帰還民及び緊急生計支援(約2,778万円)

イラクの一部が、いわゆる「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」との破壊的な紛争から立ち直る中、このプロジェクトはキルクーク県における帰還民を支援するため、瓦礫の再利用(リサイクル)プログラムを通じて環境を整備し、生計を立てることを目的としています。

 

(4)気候変動に伴う自然災害に対する脆弱な農家・牧畜業者及び国内避難民の強靱化(約328万円)

4つ目のプロジェクトは、南スーダンにおける脆弱な農民、牧畜民、国内避難民が自然災害への耐性を構築することを支援するものです。

 

これらの支援に加えて、日本はUNEPの中核基金である環境基金にも重要な貢献をしています。環境基金は、各国が持続可能な開発目標を達成するための支援に役立っており、日本は2019年度、環境基金に194万米ドルを拠出しました。

 

UNEP 事務局長 インガー・アンダーセンからのメッセージ

「世界的なCOVID-19の大流行とプラスチック廃棄物の追加的な発生は、プラスチック汚染の危機に対する解決策を早急に見つけることの必要性を増幅させるでしょう。廃棄物管理における日本の支援と専門知識は、これらの問題の解決策を見つけるために非常に重要です。日本は長年にわたり、UNEPの信頼できるパートナーであり、この協力関係を深めることができることを嬉しく思います。」

 

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Mr. Shunichi Honda
shunichi.honda[at]un.org