アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の助成とNOWPAPの協力のもとで実施された「北西太平洋の沿岸及び海洋生態系への地球温暖化の影響」プロジェクトがこのほど完了しました。済州大学のSukgeun Jung 教授の主導の元、中国、日本、韓国、ロシアの専門家達が、2012-2014年の2年間にわたり、過去40年間に集められた気候と海洋学データのレトロスペクティブ分析を行いました。専門家達は、主要な商業魚種の滞在的漁獲高と生息地域の変化の予測とともに、気候変動によって生じるNOWPAP加盟国内での漁業部門に依存度の高い経済セクターへの危険要因と脆弱性の評価を試みました。
このプロジェクトでは、気候変動により引き起こされた大きな生態系レジームシフトが、1980年代後半にNOWPAP地域内で起きていたことが確認されました。また商業的に重要な5種類の魚(アジ、イワシ、イカ、サワラ、ブリ)の生息地域が、2000-2030年の間に20-70km極地方向へ移動することも分かりました。分布範囲に関しては、小さな遠洋種と比べ、大きな遠洋種の方が、海洋温暖化の影響をより多く受けるという結論が出されました。
気候変動が引き起こす生息地域の移動への適応力については、伝統的な沿岸漁業が産業漁業よりも競争力が弱くなると予想されます。よって、NOWPAP地域内において気候変動への適応に関する漁業政策を決定する際には、小規模伝統的漁業に対してさらなる注意を払う必要があります。